電車で席を譲る技術を持っていない「おっさん」です
朝の通勤電車、だいたい座れてゲームとかしてるけど、今朝、小柄な女性が傍の手すりに摑まってきた。
自分は出入口側の左端に坐っていて、女性は正面でなく席横の出入り口付近に立った。
ちょっとお腹が大きかったので、妊婦さんぽかったが、すぐ降りるのかと思いそのままゲーム続行。
2~3駅して、女性の位置が真横から斜め前に移動してきて、カバンに付けたマタニティマークが見えた。
やっぱ妊婦さんかと思い、「坐りますか?」と自分の席を指して聞いてみた。
最初はマスクもあって聞こえなかったようで、もう一度言うと、
目を見開き、驚いたような表情をする(口が見えないので正確には分からないが)。
そして私を凝視して無言。
まだ聞こえなかったかと思い、同じく「坐りますか?」と自分の席を指した。
女性は凝視したまま、わずかに首を横に振ったように見えたので、「大丈夫?」と聞くと無言でうなずいた。
遠慮してるのかもしれないが、基本的に深追いしないタイプなので、そのまま納得してゲーム再開。
でもおかしいな、あの表情は...なんか引っかかる。
ゲームはやめて、瞑想タイムに。
でもやはり、気になる。
あの大きく目を見開き、驚いたような、そして一瞬固まったような表情。
しかも返事はなく、わずかに首動かすだけ。
何か変な物を見るような目、ちょっと恐怖もあったようにも思える。
あっ!もしかして、「坐りますか?」と同時に下に向けた指。
自分は席を指してるつもりだったけど、もしかしたら「膝の上」と誤解されたか!?
「なんだこいつ、なに言ってんだ、やべー」とか思ってたとすると...
あの表情も頷ける。
私が爽やかな学生だったら、誤解はされなかったろうが、「おっさん」だから、恐怖を与えてしまったのかもしれない。。。
「おっさん」の中では清潔感ある方だと思ってたけど、うーむ難しいな。
席を立って声かけるのが分かりやすいんだけど、立ってから断られると、また坐るのもなんか気まずい感じだし、黙って立って移動する手もあるが、右前に立ってたサラリーマン風の人が速攻で座る気がして、結構テクニック必要だよな。
今度機会があったらどうしたらよいのか?
まずは、声かける前に「笑顔を作る」べきかな。
もしかしたら私の目つきが怖かったのかもしれない。
マスクで口元は見えないから、大きな表情を意識した方がよいだろか。
「中腰状態で声かける」のもありか。
これなら断られても、ごく自然にさりげなく着席可能だろう。
後はマスクで「声かけ」が聞こえづらいのも問題か。
「声かけ」でなく、スマホで「席に坐りませんか?」みたいな画像を表示して、見てもらうのもいいかも。
文字だけなら簡単だし、今度作っておくか。
電車とかで席を譲る行動、長年生きてきて今だにスマートにできないわ。
「おっさん」だと、さらに高度な技術が必要な気がするのは、思い込みだろうか。
新宿御苑のミミズ
久々に開園した新宿御苑に行った。人数制限2000人とかだったが、そこそこ人入ってた。混んでるほどでは無かったけど。
久々の緑と土、やっぱいいよね。前日の雨あがりのせいか、空気感がしっとり。
そんな中、ガクアジサイがとてもきれい。
値上げしてから足が遠のき、ほんと久々だったけど、今後はマメに来ようかね。
テーマは小さく狭い世界だな。
御苑も全体歩くとかなり時間かかるから、小さい範囲をゆっくり入念に。
ときに腹式呼吸しながら、五感を研ぎ澄まし、森林の空気や音とシンクロするイメージ。
そんな風に歩いていると、小さい虫が見えない糸を垂らして、空中に浮いてるのが良く目に入ったりする。尺取り虫みたいなのとか、小さい蜘蛛とか。かわいいよね。
木の手摺の裏とかに陸巻貝を見つけたり、小さい世界楽しいね。
のんきに、ゆっくり歩く、歩く。
いろんな小さい奴らのうごめき。
そんな中、あのミミズに出会った。
そいつは、土の上をこちらに這い進んでくる。
気づいたときは、私から1mちょっとは離れてたが、なかなか早い。
どんどん、このまま来ると、私の足元。アスファルトの歩道だ。
ミミズは雨のあととか、よく出てくるけど、こいつもこのパターンかな。
道路とかで干からびて死んでるのもよくあるけど、大丈夫か?
ミミズは私の意など解さず、とにかくぐんぐん這ってやってくる。
生命力あふれる力強い前進!
なんかすげーな~、躍動感ある全身と前進!
そして、もう足元までやってきやがった。
土とアスファルトの境界線、コンクリブロックに乗っけた私の片足めがけてやってくる。
仕方ないからどけてやった。こいつの必死さは、邪魔できない。
そしてころんと歩道に落ちた。
こいつはどこまで行くのだろう、もう少し見届けてやろうかね。
ミミズは、しばらくは側溝ブロック沿いに進んで、意を決したかのように方向転換、
アスファルト路の向こうの緑地スペースに向かうようだ。
あーそっちは、日が照って熱そうだ、大丈夫かな。
1m半、右に進めば日陰なんだけど、さすがにそこまでの認知能力はないか。
歩道は4~5mぐらいあるかな、土の上を進んできた前進力なら、問題なく行けそうだ。
がんばれ ミミズっちょ!
でもやっぱ道路は熱いみたい、ペースが遅い。
まだ30センチぐらいしか進んでないぞ。
このペースだと、心配なのが素早く動く黒い影。
そうアリが何匹もせわしなく周囲を徘徊している。
そして、ああ、はやり、1匹と接触してしまった。
なんかちょっかいかけてるよ、チンピラかお前は。
悶え、捻じれるミミズ。
苦しそうだ。
チンピラに咬まれたのか?
でもチンピラアリはミミズに執着することなく、すぐ去っていった。
案外、あっさりしてる奴だな。
と、ほっとしたのは束の間、また違うチンピラアリが絡み始めた。
やっぱ、ちょんちょん攻撃してるっぽい。
悶えて、何度も捻じれるミミズ。
これは、完全にやばいよ~。
2匹目のチンピラも、結局ちょんちょん攻撃で去っていったけど、
きっと仲間呼んでくる気がするよ、たぶん。
これは危険だ!早く逃げろミミズっちょ!
しばらく悶え捻じれてたミミズ、
何とか持ち直して、ゆっくり進み始めた。
が、がんばれミミズっちょ!
根性、根性、ど根性だ!
がんばるミミズ。
でもちょっと元気がない。
10センチ進んだぐらいで止まる。
ああもう、進もう、進もうと体をねじるのだけど、
尾の方が、なんかアスファルトに焼けて付着しちゃったのか、
地面から離れない、頭は動くが尾が動かない。
何度ももがくんだけど、もうなんか、
体液とか出てきて、アスファルトが沁みまみれに。
頭はがんばる、でも尾がくっついて離れない。
ああ、もうなんか、もう絶望的だ。
動きがちょっとずつ弱弱しくなっていく。
もうダメだな…
助けてやれば良かったか…
でもそれはただの自己満足か。
俺は神ではない。
ミミズと同じ、ただの生物。
ただもう少し見届けようか。
私はそばにあったベンチで、ミミズの運命を見届けることにした。
ベンチは日が当たって、かなり暑い。
でもさほど気にならない。
絶望と戦うミミズっちょを見ている今は、さほど気にならない。
なんか、もう暑い。でも気にならない。
もがく、もがく、日の照ったアスファルトの上、ミミズはもがく。
もうそれは絶望の中での、必死の戦い!
「がんばれ、がんばれ、ウルトラセブン!」
あの、悲壮感しかないウルトラセブン最後の戦いが頭をめぐる。
ミミズっちょ、お前は今、俺の中でヒーローになった。
しばらくしてミミズの動きは、かなり弱弱しくなった。
でも、まだ死んでいない、たまに頭もたげて、進む意志を見せている。
チンピラアリはまだやってこない。
でも新たなやっかい事が、人の足。
私がベンチに移動したことで、ミミズ付近を人が何人も通り過ぎる。
みんな、足元は気にせず歩いてて、何度もニアミス。
足1個分セーフが何度もあった、ほんとひやひやもんだ。
みんな話に夢中だったり、花とか緑、風景に興味があるわけで
足元とか案外気づかない…
でもね、奇跡的に人に踏まれることなく、20~30分ぐらい見続けたかな。
そのころには、身体も少し縮んじゃってて、
そして、もう、ぴくりとも動かなくなった…
まだ、完全には死んではいないだろうか、でももう逆転は不可能だろう。
ただ一つ可能性あるとしたら、私が土に戻すことだが…
でも、それはやはり、やめておく。
今日出会ったミミズだけに、深くかかわり、生き死にに影響与えることは、
何か違う気がする…
この出会いも所詮は自然の摂理。
まぁこれが絶滅危惧種とかだと、対応変わるだろうけど。
最後に、死に行くミミズを撮影して、帰るとしよう。
おそらく、この後は、アリに食われるか、鳥に食われるか、
人に踏まれて干からびて、ぺちゃんこになるか、そんなとこだろう。
でもね、お前が必死に生きようとしたことは、確かに感じ取ったよ。
素晴らしい生命感だったな。
おまえはよく頑張ったよ、ミミズっちょ!
合掌。